薬局


9 Juin 2012

Yakkyoku


たとえば、17世紀から続いていると言うお店の中でも、
薬品の名前のラベルが貼られたガラス瓶や、天使や王冠、
植物をデザインした絵が描かれた焼き物の壷などが
整然と並べられた薬局ほど私にとって魅力的な所はありません。

もしも私が子供の頃に、近所にこんな小さな引き出しがぎっしりと
並んでいる棚や、重厚な装飾を施された秤を置く台などがある薬屋さんがあったとしたら、
おじさんと仲良くなって毎日ながめに行ったでしょう・・・。

大人になって旅したバルセロナでも、「ここは18世紀のままか?」と思われるような
素敵な薬局を見つけたときにも、お菓子屋さんと違ってあまり買い物がなかったですし、
外観から中まで徹底されたあまりの美しさに気がひけて、中へは入れませんでした。

薬や標本を入れる瓶の形は、現在でもあまり変わらない物も売られており、
そのフォルム、厚みなどがなんとも好きで、神田の高野理化ガラス店や、骨董市で見つけては
細かなものたち-ボタンやレース、貝殻、羽、人形の手足、手作りインクなど-を入れています。

そういえば、映画「パフュ-ム」の中の、香水屋さんの棚もすばらしかったですね。
地下の調合室にも、たくさんの大小の材料の入った瓶が埃をかぶって並んでおり、
主人公が調香するシーンは、なんども同じ所を止めては見入りました。
あの時代は、薬局にしても香水店にしても、貴重な物、高価な物への敬意が
棚の装飾、瓶のラベルにまで表されていたのでしょう。
小さい引き出しの一つ一つや、扉の内側までにも
絵が描かれていて、本で見ていても飽きません。

薬局から香水の話になりましたが、6月19日から24日まで、
恵比寿のギャラリーMalleで、Kizashinoさんの香水展が開催されます。
今回は写真展とご一緒のようです。
前回の展示では、重い瓶の蓋をそっと開けて、ゆっくり香って、
自分にぴったりの香りを探して選ぶのは、とてもわくわくすることでした。
セミオーダーの香水は後に美しい香水瓶に詰められ届きます。
友人のご実家から頂いた昭和の初期の頃のでしょうか・・・。
私の一番好きな医療棚には、医療用の瓶やシャーレと、
これら香水瓶が仲良く並んでいます。



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