私の人形



21 Janvier 2009

ningyo


私は毎日のように人形遊びをしている子供でしたが、
それ以前の、自分にとっての人形というものの最初の記憶は、
腹話術師が開けたトランクの中の人形でした。
周りに子供達がいて、母に抱かれて、
とても高い位置から見下ろしていましたので、
おそらく2歳くらいだったかと思います。

強烈な印象の二番目の人形は、
小学生の頃に見た乱歩のテレビドラマの中の箱に入った人形で、
夜中に部屋から抜けだし、朝になる前に元の箱に戻るという話で、
何より人形が等身大である事に興味を持ったのを覚えています。

大人になってシモンさんの「ドイツの少年」に出会い、
自分にとっての本当の人形だ、と、恋をしました。
今でも彼の棲む邸を訪ねる時、
其処に居るのだ、と思うとほんの少し緊張します。
他に小説「人でなしの恋」のつづらの中の人形など、
惹かれる人形はいずれも箱に入ったものばかりです。
アンティークドールにしても、座った姿ももちろん可愛いのですが、
やはり箱にきっちりと収まって立っている姿が一番好きです。

幼かった頃、箱に入れるということが人形に対する愛情の表現と感じていたのか、
それとも「動き語る人というもの」から一番遠いかたち、
その最も「人形らしい姿」に惹かれていたのか、
どちらなのかはわかりません。

2006年に、友人と「私の人形」というタイトルで三人展をしました。
モデルになった人形は、絵の中で歌ったり遊んだりしましたが、
今はきちんと元の箱に収まっています。

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